はじめに

仏EcoVadisは、サステナビリティ・サプライチェーン評価を行う世界大手の企業の1つであり、サプライヤーの持続可能性を評価するためのツールを提供しています。同社はサプライヤーのカーボンリスク格付のデータ提供を開始し、カーボン・アクション・モジュールの契約ユーザーが閲覧できるようになったことを発表しました。https://sustainablejapan.jp/2023/04/06/ecovadis-carbon-heatmap/88503

カーボンリスクとは、企業が直接的・間接的に排出する二酸化炭素などの温室効果ガスが地球温暖化に与える影響を示すリスクのことです。企業は、自社の業務だけでなくサプライヤーの業務においても、カーボンリスクを減らす取り組みを行うことが求められています。EcoVadisが提供するサプライヤーのカーボンリスク格付は、サプライヤー企業の持続可能性に関する評価において、重要な指標の1つとなるでしょう。

EcoVadisは、この評価において、サプライヤー企業が環境保護に対してどのような責任を持ち、どのような取り組みを行っているかを評価します。具体的には、企業のCO2排出量や再生可能エネルギーの利用、省エネルギーの導入、リサイクル率、炭素オフセット、温室効果ガスの排出削減目標の設定など、さまざまな観点から評価を行います。

今回のデータ提供は、カーボンリスク格付に関する透明性を高め、サプライヤー企業が自社の持続可能性に関する取り組みを改善するための参考になることが期待されます。また、EcoVadisのサプライヤー評価は、多くの大手企業が利用しており、このデータ提供によって、サプライヤー企業が評価の観点を把握し、より良い評価を受けるための取り組みを進めることができるようになるでしょう。

EcoVadisが提供する「カーボン・アクション・モジュール」には、供給チェーン内のサプライヤーが排出する温室効果ガス量を評価するための科学的手法が使用されています。これにより、サプライヤーがどの程度の温室効果ガスを排出しているかを評価し、リスク管理を行うことができます。また、サプライヤーが排出する温室効果ガスを低減するための具体的な行動計画を策定することができます。

このような取り組みは、サプライチェーンのカーボンフットプリント(炭素排出量)を減らすことを目的としています。サプライヤーが温室効果ガスの排出量を削減することで、企業全体のカーボンフットプリントも減少するため、企業のサステナビリティ戦略にとって重要な役割を果たすことができます。

EcoVadisのカーボン・アクション・モジュールの提供は、サプライヤーのカーボンリスク管理にとって大きな進歩です。サプライチェーン内のサプライヤーに対する影響力が大きい企業は、サプライヤーのカーボンフットプリントを減らすことができるため、環境に対する影響力が高まります。

また、このような取り組みは、企業のイメージ向上にもつながります。企業がサステナビリティを重視し、サプライヤーに対して積極的なリスク管理を行うことで、消費者からの信頼度が向上することが期待されます。

最近では、環境に配慮した商品やサービスに対する需要が高まっているため、企業は環境問題に積極的に取り組むことが求められています。このようなトレンドが続く中で、EcoVadisのようなサプライヤーのカーボンリスク管理を支援する取り組みが増えることが期待されます。

さいごに

EcoVadisがカーボンリスク格付のデータ提供を開始することは、サプライチェーンの透明性とサステナビリティへの取り組みがますます重要になる現代において、大きな意義を持っています。カーボン・アクション・モジュールによって、企業は自社のサプライチェーンの炭素排出量を評価し、リスクを特定することができます。また、サプライヤーのカーボンリスク評価を行うことで、企業はサプライヤーのサステナビリティへの取り組みやリスクマネジメントの能力を確認することができます。このような取り組みが進むことで、サプライチェーンにおける環境問題の改善が進み、より持続可能な社会の実現につながると考えられます。

一方で、このような評価においては、どのような指標を用いるかが重要になってきます。特に、カーボンリスクに対する評価指標は複数あり、企業や団体によって異なるため、一概に評価の正確性を担保できるわけではありません。そのため、より正確な評価指標や評価方法の開発が求められます。

また、EcoVadisが提供するカーボンリスク格付のデータは、企業やサプライヤーが持続可能なビジネスに取り組む上でのヒントとなるものであると同時に、企業が炭素排出量を削減し、より持続可能な社会を目指す上での責任を果たすための指標でもあります。企業は今後、より透明性の高いサプライチェーンの実現に向け、このような評価を積極的に活用していくことが必要になるでしょう。