はじめに
皆さん、サステナビリティ融資という言葉を聞いたことがありますでしょうか。三菱 UFJ銀行の例を取りながら、サステナビリティ融資についてご説明します。
サステナビリティ融資の種類
三菱 UFJ 銀行は、企業買収においてサステナビリティを重視した融資も行っています。具体的には、以下のような取り組みがあります。https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00159/011200063/
- サステナビリティの評価: 買収対象企業の ESG(環境・社会・ガバナンス)評価を行い、買収後の ESG リスクを把握することで、持続可能性の高い事業の買収を促進しています。
- グリーンローン: 買収にあたって、環境に配慮した取り組みや再生可能エネルギーの導入など、環境に貢献する事業に対しては、グリーンローンの提供を行っています。
- ソーシャルローン: 買収対象企業の社会的な課題を解決する事業に対しては、ソーシャルローンの提供を行っています。例えば、地域社会との関係強化や社会的インパクトの向上を目指す事業などが該当します。
以上のような取り組みにより、三菱 UFJ 銀行は企業買収においてもサステナビリティを重視し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
サステナビリティ融資のメリット
- 社会的・環境的な問題への取り組みを促進することができる: サステナビリティ融資は、企業が社会的・環境的な問題に取り組むための資金を調達するための手段の一つであり、企業が持続可能な経営を行うための取り組みを促進することができます。
- 企業価値の向上が期待される: サステナビリティ融資を受ける企業は、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する取り組みを強化する必要があります。これにより、企業のリスクマネジメント能力や企業価値の向上が期待されます。
- 投資家のニーズに応えることができる: 近年、投資家の間で ESG 投資が注目されており、ESG に配慮した企業への投資が増加しています。サステナビリティ融資を受ける企業は、このような投資家のニーズに応えることができます。
- 政策に基づく支援が受けられる: サステナビリティ融資は、国や地方自治体などの政策に基づく支援が受けられる場合があります。例えば、日本の場合、地方創生や環境保全などの政策に沿ったサステナビリティ融資が行われています。
サステナビリティ融資のデメリット
- 融資条件が厳しいこと: サステナビリティ融資は、環境や社会に配慮した事業に対してのみ融資が行われるため、融資を受ける企業に対して、より厳しい融資条件が課されることがあります。そのため、融資を受けるためには、より高いサステナビリティ要件をクリアする必要があります。
- 運用コストが高いこと: サステナビリティ融資は、サステナビリティ指標の測定や監視を行うためのシステムや人材を必要とするため、従来の融資に比べて運用コストが高くなることがあります。
- バブル化のリスクがあること: サステナビリティ融資が増加すると、市場が過熱し、バブル化する可能性があります。このような場合、企業がサステナビリティへのコミットメントを強調するだけで、本当の意味でのサステナビリティ実現に貢献していないというリスクがあります。
- サステナビリティ評価の方法が不透明であること: サステナビリティ融資の実施にあたり、融資を受ける企業のサステナビリティ評価が必要ですが、その評価方法が統一されておらず、不透明であることがあります。これにより、投資家が正確に評価することが困難になる場合があります。
サステナビリティ融資の増加
近年、サステナビリティ融資の需要が増加しています。企業が社会的・環境的な問題に対応するためには資金が必要であり、サステナビリティ融資はその資金調達の一つとして注目されています。また、投資家からの ESG 投資の要望が高まっていることも背景にあります。金融機関も、社会的責任を果たすために、サステナビリティ融資を積極的に展開するようになっています。2014 年よりグリーンボンド発行額は増加し続けており、2020 年には発行額が 1 兆円を超えています。https://www.env.go.jp/policy/4-1greenfinance%20(1).pdf
さいごに
持続可能な社会の実現に向けて、財界や金融業界が取り組むことは非常に重要だと考えています。サステナビリティ融資は、企業が持続可能な事業モデルの構築や環境・社会問題の解決に貢献することを促すことができ、金融機関による投資判断にも影響を与えるため、サステナビリティを重視する風潮が広がることを期待しています。