はじめに
2021 年 3 月 1 日、食品世界大手の米カーギルとスペインの代替油脂開発スタートアップCUBIQ Foods が、油脂技術の開発や製品共同開発など、商業化の加速に向けた協働を発表しました。両社は、持続可能な代替油脂の開発に取り組んでおり、今回の協働により、より効率的かつ迅速な技術開発が期待されています。この記事では、この代替油脂開発スタートアップのフードテックについて紹介します。
代替油脂とは
代替油脂の需要は、環境問題や健康志向の高まりなどにより、近年急速に拡大しています。代替油脂は、植物性油脂やマイクロバイオーム技術を利用して開発され、従来の動物性油脂よりも環境負荷が低く、健康にも配慮した製品です。
米カーギルは、代替油脂市場で世界的に活躍する企業として知られており、CUBIQ Foodsとの協働により、持続可能な代替油脂の開発を加速させることができます。CUBIQ Foodsは、スペインのバルセロナに本社を置くスタートアップであり、マイクロバイオーム技術を利用した代替油脂の開発に力を入れています。
両社は、協働により、代替油脂の開発に必要な技術やノウハウを共有し、製品の品質と生産効率を向上させることを目指します。具体的には、CUBIQ Foods のマイクロバイオーム技術と、カーギルの製品開発やマーケティングのノウハウを組み合わせ、より持続可能で健康に配慮した代替油脂の開発を加速させることが期待されます。
また、両社は、代替油脂の開発だけでなく、炭水化物やタンパク質など、他の食品原料の開発にも協力することを検討しています。これにより、両社の技術開発力を最大限に活用し、持続可能な食品業界の発展に貢献することが期待されます。
カーギルとの提携
代替油脂市場は、今後も拡大が見込まれ、CUBIQ Foods のプロダクトマネージャーであるMaria Navarro は、米国市場への参入を拡大するため、カーギルとの提携が重要であると述べています。CUBIQ Foods は、今後の数年間でスペイン、ドイツ、イギリス、そしてアメリカ市場での販売を計画しています。同社は、最初に動物性油脂の代替品として、アジア市場での販売を開始する予定でしたが、その後、カーギルとの提携により、世界市場での販売を加速させることができることがわかりました。
カーギルの動きにも注目です。同社は、食品産業におけるサステナビリティに重きを置いた事業展開を進めています。カーギルは、従来の食品生産プロセスが環境に与える影響を軽減し、よりサステナブルな食品生産に取り組むことを目指しています。具体的には、持続可能な供給チェーンの構築、労働者の安全性、地球温暖化対策、森林保護、および水資源の保全に取り組んでいます。
おわりに
ESG 投資(環境、社会、ガバナンスに配慮した投資)が増加している現代において、ESG投資は企業価値を高める重要な要素となっています。投資家が企業のサステナビリティに対する取り組みを注視するようになり、サステナブルなビジネスモデルを採用する企業に投資することが、将来的な収益を高めるための戦略として注目されています。
カーギルと CUBIQ Foods の提携は、食品業界における新しいビジネスモデルと、サステナブルな生産方法の進展を象徴するものと言えます。この提携により、世界中の消費者がよりサステナブルで健康的な食品にアクセスすることが期待されます。また、同様に、サステナブルなビジネスに投資することが、投資家にとっても将来的なリターンをもたらすことが示唆されます。