はじめに
みなさん国際銅協会(International Copper Association, ICA)をご存じでしょうか?
WHOのような世界機関はよく耳にしますが、ICA はあまり聞き慣れないかもしれません。世界的に銅に関する研究を行う非営利団体ですが、この ICA が脱炭素に関する枠組みを発表しましたのでご紹介したいと思います。
国際的に銅に関する研究を行う非営利団体
国際銅協会(International Copper Association, ICA)は、銅に関する研究、情報提供、市場開発、環境保護に焦点を当てた国際的な非営利団体です。ICA は、銅を使用する産業や製品の開発と促進を目的としています。また、銅を使用する企業や研究者に対して、市場トレンドや技術革新に関する情報を提供することで、銅に関する知識の普及にも取り組んでいます。
ICA は、世界中の銅産業関係者が参加するグローバルなネットワークであり、銅の生産、流通、使用に関わる問題に取り組むためのプラットフォームとして機能しています。ICAは、銅を使用する企業や研究者、政府機関、非政府組織、消費者団体などのメンバーから構成されており、現在は 50 以上の国と地域にメンバーがあります。ICA の活動は、環境保護やサステイナビリティにも注目しています。ICA は、銅のリサイクルやエネルギー効率の向上に取り組むことで、環境にやさしい銅の使用を促進しています。また、銅を使用する製品が社会に与える影響についても研究を行い、銅を用いた製品が安全で持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています。
http://www.jcda.or.jp/center/tabid/78/Default.aspx
ICA の脱炭素の取り組み
2022 年 3 月 7 日に国際銅協会(ICA)は、全加盟企業が「Pathway to Net Zero」というロードマップに合意したことを発表しました。このロードマップは、銅産業全体が 2050 年までにスコープ 1 および 2 でカーボンニュートラルを達成し、スコープ 3 で最大 85%の削減を目指すことを目的としています。https://sustainablejapan.jp/2023/03/10/ica-pathway-to-net-zero/87666
「スコープ 1」「スコープ 2」「スコープ 3」という用語は、企業の温室効果ガス排出量を評価するために使われる枠組みで、以下のように定義されています。
スコープ 1:企業自身が直接排出する温室効果ガス(例:燃料の燃焼による二酸化炭素の排出)
スコープ 2:企業が購入した電力など、企業活動に関連する間接的な温室効果ガス排出量
スコープ 3:企業が製品の製造や物流、廃棄物処理などで発生させる温室効果ガス排出量
ICA のロードマップでは、スコープ 1 および 2 に関しては、銅産業におけるカーボンニュートラルの達成が目標とされています。スコープ 3 については、銅を使用した製品のライフサイクル全体にわたって、温室効果ガス排出量を最大 85%削減することが目標とされています。
このロードマップは、銅産業全体での取り組みを促進することを目的としており、ICA は加盟企業に対して、具体的な行動計画の策定や、温室効果ガス排出量の計測・報告、技術革新の促進などを支援する予定です。ICA は、このロードマップが銅産業にとって持続可能な未来を実現する一歩となることを期待しています。
さいごに
国際銅協会(International Copper Association, ICA)について理解頂けましたでしょうか。鉄鋼や銅など製造業界において、製造プロセスの中で温室効果ガスをいかに排除しビジネスを行うかが重要になってきています。国際的な銅のガイドラインが発令されたことにより、銅を扱う各業界の指針となるでしょう。