はじめに
米国の食品・穀物メーカーであるゼネラル・ミルズは、4月4日に、原材料生産のリジェネラティブ農業への転換を進めるため、アメリカン・ファームランド・トラストと米ロデール研究所との戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。
リジェネラティブ農業
リジェネラティブ農業とは、土地の健康を改善することで、より健康的で持続可能な食品生産を目指す農業の取り組みです。具体的には、土地に肥料や化学薬品を使わずに、カバークロップ(被覆作物)や生ゴミを利用した堆肥、天然の肥料などを使用することで、土壌の健康を維持しながら、環境に配慮した食品生産を行うことができます。
ゼネラル・ミルズは、自社の製品に使われる原材料の生産において、リジェネラティブ農業を推進することを目指しています。今回のパートナーシップ締結により、アメリカン・ファームランド・トラストと米ロデール研究所から、リジェネラティブ農業の専門知識や技術支援を受け、ゼネラル・ミルズの取り組みが加速されることが期待されます。
ゼネラル・ミルズは、そのブランドのひとつである「シェリオーズ」のシリアル製品において、既にリジェネラティブ農業の原材料を使用しています。今回の取り組みは、より広範囲な製品にリジェネラティブ農業の原材料を使用することを目指すものであり、ゼネラル・ミルズは、この取り組みを通じて、より環境に配慮した食品生産を進めることを目指しています。
この提携の効果
この提携により、ゼネラル・ミルズは、地球環境に貢献するだけでなく、生産者や地域社会、消費者にも貢献することができると期待されます。特に、米国では農地の開発が進んでおり、耕作放棄地も増えているため、これらのパートナーシップが健全な農業と食糧生産を促進するために重要な役割を果たすことが期待されます。
また、ゼネラル・ミルズは、リジェネラティブ農業を採用することによって温室効果ガスの排出削減に貢献することを目指しています。リジェネラティブ農業は、土壌の健康を維持し二酸化炭素を吸収して有機物質を生み出すことで、二酸化炭素の排出削減につながります。また、農場の持続可能性を高め、環境負荷を低減することが可能になります。
今後も、企業がリジェネラティブ農業に注力することで、食糧生産の持続可能性を高め地球環境に貢献することが期待されます。しかし、リジェネラティブ農業には専門的な知識や技術が必要であるため、農家や生産者、消費者に対する啓蒙活動が必要であると考えられます。
さいごに
ゼネラル・ミルズの取り組みは、リジェネラティブ農業の推進に向けた具体的な行動であると評価できます。リジェネラティブ農業は、土壌の再生や炭素吸収、生物多様性の保全など、環境面だけでなく農業生産性の向上にもつながる新しいアプローチです。今回のパートナーシップにより、ゼネラル・ミルズはリジェネラティブ農業の推進を加速し、サプライチェーンの持続可能性を高めることができると期待されます。
また、パートナーシップの相手先であるアメリカン・ファームランド・トラストとロデール研究所は、それぞれ環境保全や持続可能な農業に取り組むNGOと研究機関として長年にわたり実績を積み上げてきた団体です。その専門的な知見を生かして、ゼネラル・ミルズがリジェネラティブ農業に取り組む上で必要となる支援を提供することで、より効果的かつ持続的な取り組みを進めることができるでしょう。
しかしながら、ゼネラル・ミルズが目指すリジェネラティブ農業の実現には、単独での取り組みだけでは限界があります。農業生産に関わる多くのステークホルダーの協力が必要であり、サプライチェーン全体で持続可能な農業の実現に向けた取り組みが進められることが望まれます。そのためには、産業界、NGO、政府などが協力して、より持続可能な農業システムの構築に取り組む必要があると言えるでしょう。