はじめに
2023 年 2 月、ヤフー株式会社は自社の提供する地図アプリ「Yahoo!MAP」、カーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」、乗換案内アプリ「Yahoo!乗換案内」において、ルート毎のCO2排出量を表示する機能を追加したことを発表しました。これにより、利用者が移動手段の選択に際し、環境負荷を考慮した意思決定が可能になると期待されています。
CO2 排出表示機能の詳細
この機能は、移動手段(車、バス、徒歩など)に応じた CO2 排出量を計算し、ルート案内とともに表示するもので、ユーザーは自身が使用する移動手段に応じた CO2排出量を確認することができます。また、同じ移動手段を利用する場合でも、ルートによって排出量が異なる場合があるため、より環境負荷の少ないルートを選択することができます。
なお、この機能の導入にあたり、ヤフーは移動手段ごとの CO2排出量の算出方法を公開しており、計算に使用するデータも開示しています。具体的には、車の場合は、車種、燃料種類、燃費、排出ガス量などの情報を元に、国土交通省が公表する基準 CO2排出係数を用いて算出しています。バスや列車の場合は、運行会社から提供されたデータを基に算出しています。
ヤフーの目的は?
ヤフーの取り組みは、企業としての社会的責任を果たすとともに、環境問題に取り組む利用者のニーズに応えたものと評価されています。CO2 排出量の表示によって、移動手段の選択において環境負荷を意識することができるため、温暖化対策の一助となることが期待されます。また、今後は、より精度の高い CO2排出量の算出方法や、さらに環境負荷の少ない移動手段の提案など、さらなる機能拡充が期待されます。ただし、一方で、CO2 排出量の表示によって、環境負荷を意識しないユーザーにとっては情報過多になる可能性もあるため、表示の見やすさや使いやすさが重要となるでしょう。
経済的影響は?
以下のような経済的な影響が考えられます。
- 燃費のよい車両の需要が増加する可能性があるCO2 排出量が表示されることで、車両の燃費性能がよい方が選ばれやすくなるため、燃費のよい車両の需要が増加する可能性があります。その結果、燃費の悪い車両の需要が低下する可能性もあります。
- 交通手段の選択に影響が出る可能性があるCO2 排出量が表示されることで、自動車やバイクなどの個人的な乗り物による移動を控えることが促進される可能性があります。一方で、公共交通機関を利用するようになることで、公共交通機関の需要が増加することが想定されます。
- 自動車業界に影響が出る可能性がある燃費のよい車両の需要が増加することで、自動車メーカーが燃費性能のよい車両の開発や販売に注力することが期待されます。その一方で、燃費の悪い車両の需要が低下することで、自動車メーカーにとっては販売数の低下が生じる可能性があります。以上のように、CO2 排出量の表示によって、個人の交通手段選択に影響が出るだけでなく、自動車業界や燃費性能に関連する産業にも影響を与える可能性があります。ただし、具体的な影響は状況によって異なるため、さまざまな要因を考慮して総合的に評価する必要があります。
まとめ
CO2 排出量表示については、確かに CO2 という見えないものに対する数値で重要では無いように思われるかもしれません。しかし、CO2 の経済的影響は自動車産業や交通への影響を大きく与えうる可能性があることが分かりました。今後はヤフー株式会社のように、CO2 排出量に着目したサービスが増えてくるかもしれません。