はじめに

関西を中心に店舗展開しているドラッグストアであるキリン堂は、2023年1月12日、VPP Japanとアイ・グリッド・ソリューションズと連携し、オンサイト型PPAモデルで太陽光発電を導入していくことを発表しました。関西以西で、81店舗で屋上での設置導入を考えていて、もし実施されれば、太陽光パネルの出力は最大9.818MW、年間発電量は最大約1万14MWhの見込みで、使用電力の30~35%程度を賄えるそうです。さらに余剰電力は非FITの電力として売る予定だそうです。2023年冬から随時稼働を目指すようです。

なぜドラッグストアが太陽光発電設置へ。

なぜキリンはドラッグストアの太陽光発電を設置し始めたのでしょうか。

背景には、2020年10月、政府が「2050年カーボンニュートラル」や、「温室効果ガスを2013年度比46%削減、そして50%の高みに向けて挑戦を続ける」という2030年度目標を発表したことがあります。大企業を中心とした脱炭素経営への取組が広がっております。中小企業における脱炭素経営への取り組みは、エネルギー価格の高騰への対策や、新たなビジネスチャンスの獲得や事業の持続可能性の確保が期待されます。

キリン堂も、事業活動全般における環境負荷低減に取り組んでいて、今回の太陽光導入もその一環のようです。今回の取り組みによる年間CO2排出削減効果は、最大3000tを見込んでいます。因みに、年間CO2/3000tは、例えばJクレジットの値段であればカーボンクレジット2536円/tであり、3000tは約760万円に当たります。

日本企業のCO2削減目標量はどうなっているのか。

日本政府において、環境省の地球環境局/地球温暖化対策課/脱炭素ビジネス推進室が企業にCO2排出量を削減してもらう運動を進めています。2022年8月には中小企業における中長期の目標設定とその取組を促進させるために、「中小企業の温室効果ガス削減目標に向けた脱炭素経営促進モデル事業」を実施することを発表し、参加企業の公募をしています。

また、2022年12月には、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会(第5回)」が開催されています。こちらの検討会のまとめはwebに出ております。

こちら

現在、企業はSHK制度とGHGプロトコルという2通りのCO2排出量の算定を求められています。5回目の検討会では2つを混ぜてより適切な排出量の算定を検討していました。また、SHK制度では排出係数という決められた係数をもとにエネルギーに対するCO2排出量が算出されます。今後の予定は、[温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会]で、令和4年度から5年度の間で算定方法の詳細や運用等について検討を進めるそうです。結論、未だ国と企業の間でCO2排出量の算定法と削減目標量は決定されておりません。

参考:SKH制度とは

まとめ

国と企業の間でCO2削減量目標は未決定ですが、企業の中にはビジネスチャンスまたはコスト削減の良い機会と捉え、 脱炭素経営の推進を図る企業もあります。 各企業がリードし合えば、正式に制度で導入された暁には、カーボンクレジット市場が沸き立つことになるかもしれませんね。今後の動向、要チェックです。