はじめに

少しづつ夜の時間が長くなり、朝晩は涼しくなってきましたね。秋冬になると大活躍するのが、価格が抑えめでありながら軽くて使い勝手のよいユニクロのダウンジャケットではないでしょうか。筆者も毎年お世話になっています。

(※この記事は秋に出稿しています)

 そのユニクロは、素材の大半をリサイクル品にしたダウンジャケットを商品化しています。ダウンだけでなく、ジャケット表面に使う「側生地」を初めて再生品のナイロン100%にしました。

ダウンのみならずナイロンも再利用

 2020年、ユニクロは「リサイクルダウンジャケット」の販売を始め、既にダウンやフェザーは回収品を使っていました。今回は表面に使う生地も再生品を使うことで、ジャケット全体のうちリサイクル品でないのはファスナーなど一部のみにしました。

 化学繊維の中で最も多いポリエステル繊維は既に再生品が普及していますが、2番目に多いナイロンでも再生品が広がれば、石化製品の使用量が減ることなどから二酸化炭素(CO2)の排出削減につながります。

ユニクロの2050年カーボンニュートラルと「RE:UNIQLO」

ユニクロは、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロの「カーボンニュートラル」を目指すことを明言しています。削減目標は企業によって様々ですが、スコープ3(事業者の活動に関連する他社の排出)のサプライチェーンでは、ユニクロ、ジーユーの商品の原材料、素材生産、縫製で20%削減を目標に掲げています。あわせて、原材料の50%をリサイクル素材などへと切り替えることも掲げています。

この目標は、2015年に国連気候変動枠組条約として策定された「パリ協定」に準じて「世界の気温上昇を産業革命前より2度を十分下回る水準に抑え、また、1.5度に抑えることを目指す」ための科学的な根拠に基づくものであるとして、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、2021年9月に国際機関SBTイニシアティブによる「SBT(Science-Based Targets)」認定を取得しています。

ファーストリテイリングは、古着回収として2006年から行ってきた「全商品リサイクル活動」を行ってきましたが、2020年に全商品をリサイクル、リユースする取り組みである「RE.UNIQLO」へとアップグレード。服のリユースに加え、「服から服へのリサイクル」にも着手しました。

衣料品関連の温暖化ガス排出量

再生素材を使うと、原材料の採掘や収集、加工といった各工程で排出するCO2の量を大幅に減らせます。ユニクロの場合、ダウンの再利用は約20%の削減につながったといいます。米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、衣料品関連の温暖化ガス排出量は18年に約21億トンと、世界全体の約4%を占めます。

 日本化学繊維協会のまとめでは、世界のナイロン繊維の生産量は2017年時点で559万トン。化学繊維の8%を占め、ポリエステル繊維(5384万トン)に次いで2番目に多いです。

 ファーストリテイリングは将来はファスナーなどの副資材もできるだけリサイクル品に置き換えていくことを目指しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

身近にあるユニクロのダウンジャケットも再生品が使われており、それが世の中のCO2排出にも繋がっていることがおわかり頂けたのではないでしょうか。

企業のみならず、今後は一般消費者も、環境負荷の低い商品・サービスを購入・利用していく動きが高まっていくかもしれないですね。