はじめに

スタートアップ企業にリスクマネーを供給して成長を支援するベンチャーキャピタル(VC)という業態をご存知でしょうか。主に高い成長率を有する未上場企業に対して資金提供による投資をし、投資した企業の上場等によってリターン(収益)を狙う投資会社(投資ファンド)のことを指します。このVCの業界にも、脱炭素の潮流が押し寄せています。

独立系VCの環境エネルギー投資

「株式会社環境エネルギー投資」というVCがあります。同社は環境・エネルギー分野に特化した日本で唯一のベンチャーキャピタルとして、2006年に設立されました。設立以来、環境・エネルギー関連のサービス、テクノロジー分野で活躍するベンチャー企業への投資および事業成長の支援を行っています。

 2022年9月、同社は、脱炭素を中心に持続可能な社会の実現に貢献する革新的なビジネスモデルや技術を有するスタートアップに対して投資を行うためのファンドを設立することを発表しました。

 脱炭素の流れが加速する中、脱炭素目標の達成に向けてイノベーションと事業創造が不可欠であり、それらを担うスタートアップが存在感を増していること、また、魅力的な起業家が続々と参入していることに同社は注目しました。

環境エネルギー投資の投資領域

環境エネルギー投資は、この領域のスタートアップが高い成長性を見せていることに着目しました。

 投資対象としては、脱炭素を中心に持続可能な社会の実現に貢献するビジネスモデルや技 術を有するスタートアップや、2050 年のカーボンニュートラルに向けて、抜本的なイノベーションに資するビジネスモデル・技術を有するスタートアップとし、以下の投資領域を設定しました。

  1. Energy Transition:主に脱炭素社会の実現へ向けて飛躍が期待される次世代エネルギービジネス。再生可能性エネルギーや蓄電ソリューション、省エネ、最適制御、カーボンオフセット分野等が対象。
  2. Mobility & Transportation:モビリティの電動化・充電分野に加えて、人の移動や物流の DX 化や効率化に資す るサービス・技術等。
  3. Smart Society:主に「グリーン化」「スマート化」「ニューノーマル」へのソリューションを提供し、先鋭化する社会課題の解決に資する企業が投資対象。

いま注目の環境領域のクライメイトテック

環境エネルギー投資の動きや狙いからも分かるように、環境・気候変動問題をテクノロジーの力で解決していこうという「クライメイトテック」のスタートアップが注目されています。

 そもそも、何故いまこの領域が注目されているのでしょうか?

 2020年10月、菅前内閣総理大臣は、所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル宣言」を表明しました。

 以降、CO2削減等による、気候変動問題の解決を推進できるクライメートテック領域の企業・サービスが増えてきました。特に、再生可能エネルギー電力やCO2排出量可視化分野などはその代表格です。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、地球温暖化の問題は今もなお課題となっており、この領域のニーズは今後もさらに高まると予想されています。

以下は、クライメイトテックのカオスマップです。

環境エネルギー投資の投資領域とも重なりますが、再生可能エネルギーや蓄電池、EV等のモビリティ、需要予測のようなスマート化等、様々な領域がありますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

多くの企業が世界的な気候変動の問題を解決するため、CO2排出量の削減や地球温暖化の影響への対策を講じています。2050年カーボンニュートラル宣言後の今、気候変動問題を解決するためのテクノロジーの導入や再エネ電力の使用など出来ることから始めてみてはいかがでしょうか。